2019年4月号(中3)膿がたまったニキビはつぶしちゃダメ!!
※解説やもっと知ってほしいことなどは、おくすりナビの下に書いてあります。
解説やもっと知ってほしいことなど
ニキビの本質は、毛穴に皮脂 ( 皮膚のあぶら ) がたまっている状態です。膿(うみ)を押し出しても皮脂が残っていると炎症は治まりません。
病院では針で皮脂の出口を作り、専用の道具でニキビの周りを押して皮脂を押し出す治療が行われることがあります。しかし、自分で潰すと皮脂を上手く押し出すことができず、中途半端にニキビを押すことでかえって炎症が悪化し、皮ふがへこんでニキビ跡 ( 瘢痕:はんこん ) が残ってしまうことがあります。 ( 今回のおくすりナビには、これを書きました )
ニキビのでき方、経過
ニキビは、主に男性ホルモンの影響で皮脂の分泌が多くなることと、角化 ( 皮ふ表面の最も外側にある角質層が作られること ) の異常で毛穴の先が詰まることによって、毛穴の中に皮脂がたまっていくことででき始めます。この状態を面皰 ( めんぽう ) といい、毛穴の先が閉じて白くふくらんでいるものを白ニキビ 、毛穴の先が開いて先端が黒いものを黒ニキビとも言います。
面皰ができた後、毛穴の中でアクネ菌 ( どんな毛穴にも普通にいる菌です ) が異常に増えると、炎症を起こして赤いブツブツしたニキビや膿がたまったニキビができます ( 赤ニキビ ) 。
炎症がさらにひどくなると、皮ふの下に膿がたまった袋ができたり、しこりができます。炎症がひどかったり、ニキビを下手に潰したりすると、ニキビが治っても皮ふがへこんだり、逆にケロイド ( 傷あとの盛り上がり ) が残ることもあります。
思春期のニキビ と 大人のニキビ
思春期では、13歳頃からでき始め、高校生のころが最も症状が強くなり、20歳頃には治まっていきます。ニキビができる場所は、13歳頃は額 ( ひたい ) が中心、次第に頬 ( ほほ ) にできるようになり、その後、あごや首、胸や背中にも広がっていきます。
大人では女性に多く、ニキビのでき方は思春期と同じです。不規則な生活、ストレス、睡眠不足、不適切なスキンケアなどが悪化の原因となります。
ニキビの治療
医療用医薬品に、2008年に 「 アダパレン 」 という角化異常をおさえて毛穴の詰まりを改善する塗り薬が、2015年に 「 過酸化ベンゾイル 」 というアクネ菌をやっつける塗り薬が登場し、治療がしやすくなりました。アダパレンは赤ニキビが治った後、再発予防のために使うこともあります。アダパレンや過酸化ベンゾイル以外にも、アクネ菌をやっつける塗り薬や飲み薬、保湿剤なども治療に使われます。
ニキビがしょっちゅうできる人、ひどいニキビができる人は、薬剤師に相談、あるいは皮ふ科を受診してみましょう。
気をつけること
ニキビは不潔だからできるわけではありません。毎日、余分な皮脂や汚れを落とすために洗顔は必要ですが、強くこすったり、1日に何回も洗顔する必要はありません。また、毛先やマフラーなどが常にあたっていると、ニキビができやすくなります。ニキビを隠すために前髪を垂らしたり、マフラーをしたり、マスクを常にしているのはやめましょう。
ニキビができてしまったら、ニキビをさわる、こする、つつく、強く押す、潰すことは避けましょう。
食事や化粧に関する制限はありませんが、体内のホルモンの分泌 ( 出かた ) に影響する可能性がある不規則な生活、ストレス、睡眠不足などがある場合は、改善に努めましょう。
( 参考:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A )