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2024年3月号(高2)薬局で「ジェネリック医薬品を希望しますか?」と聞かれたら・・・

※解説やもっと知ってほしいことなどは、ドラッグレターの下に書いてあります。

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解説やもっと知ってほしいことなど

ジェネリック医薬品とは

ジェネリック医薬品※1とは、最初に販売された医薬品※2(以下、「先発医薬品」と言います)特許が切れた後に別のメーカーから販売される、先発医薬品と同じ有効成分を同じ量含み、同じ効果を持つ医薬品のことです。
開発費用が低く抑えられているため、先発医薬品と比べて低価格であることが特徴です。

ジェネリック医薬品には先発医薬品とは異なる添加剤が使用されていたり、色や大きさなども異なっているものがほとんどです。
しかし、有効性や安全性、品質について国が厳格な審査を行った上で製造や販売が認められていますので、安心して服用することができます。

※1 「後発医薬品」「後発品」とも言われます
※2 「先発医薬品」「先発品」とも言われます

 

オーソライズド・ジェネリック(AG)とは

ジェネリック医薬品を製造する製薬メーカーが先発医薬品を製造する製薬メーカーの特許権の許諾を得て(オーソライズド)、特許が切れる前から製造販売される後発医薬品をオーソライズド・ジェネリック(Authorized Generic:AG)と言います。

一般的に、先発医薬品を製造販売する製薬メーカー(先発メーカー)と契約関係にある会社や完全子会社が、先発医薬品と同じ添加物を使い、同じ作り方で製造します。(①、②、③)
また製薬メーカーによっては原料となる物質(原薬)も同じものがあります。(①、②)
オーソライズド・ジェネリック(①~③)は通常の後発医薬品(④)と異なり、有効成分やその含量、効果以外も先発医薬品と同じであるため、より安心して服用することができます。

製薬メーカー 原薬製造 添加物 製造方法 製造所 名称 生物学的
同等性試験
※3
先発品メーカー
の完全子会社
同じ 同じ 同じ 同じ 異なる 不要
先発品メーカー
と契約関係あり
同じ 同じ 同じ 異なる 異なる 必要
先発品メーカー
と契約関係あり
異なる 同じ 同じ 異なる 異なる 必要
先発品メーカー
と契約関係なし
異なる 異なる 異なる 異なる 異なる 必要

(福岡県薬剤師会HPの表を一部改変)

※3 生物学的同等性試験
ジェネリック医薬品が先発医薬品と同じ効果を持っているか、血液に溶けている医薬品の量が同じであるかなどを証明するために行われる試験のこと。

参考:福岡県薬剤師会「オーソライズド・ジェネリックとは?(薬局)」

 

ジェネリック医薬品の価格について

後発医薬品の価格は先発医薬品の価格よりも低いのが特徴であり、先発医薬品の価格の50%です。
内用薬(飲み薬)において同時期に発売される後発医薬品の銘柄数が10以上の場合は、先発医薬品の価格の40%です。

医薬品の中にはタンパク質などを有効成分とする生物学的製剤というものがあります。
生物学的製剤(先行バイオ医薬品)の特許が切れた後に別のメーカーから販売される医薬品のことを『バイオ後続品』 と言い、その価格は先行バイオ医薬品の価格の70%です。

 

ジェネリック医薬品の工夫例について

ジェネリック医薬品の中には、内用薬(飲み薬)の場合、患者さんが飲みやすいように医薬品の形や大きさが飲み込みやすい形状になっていたり、苦みを感じないようにするなど味が工夫されているものがあります。
また、医薬品の名前を直接印字して、識別しやすいように工夫されているものもあります。

〔工夫例〕
☆大きくて飲みづらい錠剤を小さくして飲みやすくする。
☆苦みや嫌なにおいのある錠剤にコーティングを施し、苦みや嫌なにおいを感じなくする。
☆唾液でも溶ける 『口腔内崩壊錠』(OD錠)にし、水なしでも服用できるようにする。
☆錠剤やカプセルに薬剤名を印字し、識別しやすいようにすることで飲み間違えを防止する。

 

お試し服用について

医師から処方された医薬品について「ジェネリック医薬品を服用することに少し抵抗を感じる」「何となく不安」という方は、薬局に相談してください。
短期間だけ試しにジェネリック医薬品を服用してみる 『お試し服用』 をすることができます。

例えば、先発医薬品が1か月分処方された場合、初めの1週間をお試し期間としてジェネリック医薬品で調剤してもらい、試しに服用してみることができます。
お試し期間が終わった時点で特に問題がなかった場合、2週目以降もジェネリック医薬品で調剤してもらうことも、処方どおり先発医薬品に戻して調剤してもらうこともできます。
どちらにするかは患者さんが選ぶことができます。

ただし、医師からジェネリック医薬品での調剤を行ってはいけないとの指示が処方せんに記されていた場合は 『お試し服用』 はできず、先発医薬品を服用していただくことになります。

 

ジェネリック医薬品の普及率について

国の医療保険財政の改善を図るため、また患者さんの医療費の負担を軽くするため、ジェネリック医薬品の普及を国は進めています
近年、ジェネリック医薬品の普及が進み、多くの患者さんがジェネリック医薬品を服用しています。

後発医薬品の使用割合の目標と推移(「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定))

 

最後に

全ての医薬品においてジェネリック医薬品やバイオ後続品が販売されているわけではありません。
また、医師からジェネリック医薬品での調剤を行ってはいけないとの指示が処方せんに記されているため、ジェネリック医薬品への変更ができない場合もあります。

ジェネリック医薬品は医療用医薬品ですので、医師による診察を受けた時、また処方せんを薬局に持参した時に使用されることがある医薬品です。
病院を受診するほどの病気やケガなどがなければ馴染みのない医薬品でもあるため、薬局で「ジェネリック医薬品を希望されますか?」と聞かれても、戸惑う人は多いのではないでしょうか。
ジェネリック医薬品について分からないことや気になることがあれば、遠慮なく薬剤師に相談してください。

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