2024年2月号(高1)自分の頭痛はどのタイプ? 確認してみよう!
※解説やもっと知ってほしいことなどは、ドラッグレターの下に書いてあります。
解説やもっと知ってほしいことなど
外傷性頭痛
頭をどこかに強くぶつけたり、頭に強い衝撃が加わったりした後に起こる頭痛です。
これまでに経験がないひどい頭痛が見られたり、短時間でピークに達するような頭痛が急に起こったり、熱がある、嘔吐した、しゃべりにくさがある、手足の麻痺やしびれを伴うような場合は、至急病院へ行く必要があります。
すぐに救急車を呼びましょう。
救急車を呼ぶべきか迷ったときは #7119 に電話することで、救急車を呼ぶかどうかの判断をしてもらうことができます。
外傷性以外の頭痛
〔薬剤の使用過多による頭痛〕
<どのような頭痛が当てはまるのか>
・以前から頭痛がよく生じる人で、1カ月に15日以上生じている。
・1種類以上の頭痛薬(痛み止めなど)を3カ月を超えて定期的に服用している。
<特徴>
・頭痛薬を飲む回数が増え、そのことが原因で頭痛の症状が悪化してしまっている状態です。
・頭痛薬を定期的に服用することで、脳が痛みに対して敏感になり、頭痛が生じやすくなると考えられています。
<治療・対処>
・普段飲んでいる頭痛薬が市販薬(一般用医薬品)の場合は、飲むのをいったん止めて内科のほか、脳神経内科、頭痛外来を受診しましょう。市販薬を買った薬局にまず相談してみるのもよいでしょう。
・普段飲んでいる頭痛薬が医師から処方された医薬品(医療用医薬品)の場合は、処方してもらった病院や調剤してもらった薬局に相談してください。
〔片頭痛〕
<特徴>
・主にこめかみから側頭部にかけて生じる、拍動性(ズキンズキンと脈打つような感じ)の頭痛で、痛みは3~72時間続きます。発作の頻度は月に1~5回程度と言われています。日常生活に支障をきたすことが多い頭痛です。
・片側の頭痛から両側の頭痛に変化することが多く、片側のみにとどまる頭痛は約10%です。加えて日常動作にて痛みが増す、光過敏、音過敏、臭過敏、悪心、嘔吐などを伴います。
<経過>
・前兆のある片頭痛:前駆症状※1 → 前兆※2 → 片頭痛発作と進行
・前兆のない片頭痛:前駆症状※1 → 片頭痛発作と進行
※1
前駆症状:疲労感、集中困難、あくび、光・音過敏などの症状が発作の2~48時間前に現れます。
※2
前兆:閃輝暗点(せんきあんてん)(視野の中心が見えなくなり、その周囲にキラキラと輝く歯車のようなギザギザの模様が見え、次第に視野全体に広がっていく)が発作の20~30分前に現れます。
<症状が悪化する要因>
・精神的因子:ストレス、過度の緊張、疲労、睡眠の不足・過多など(ストレスから解放された時に頭痛が起こることが多く、週末頭痛とも言われています)
・内因性因子:月経周期(特に月経前、月経中)など
・環境因子:天候、温度、気圧、頻回の旅行など
・食事因子:低血糖、飲酒など
<治療・対処>
・光や音の刺激を避け、暗くて静かな場所で横になって休むことで、痛みの悪化を防ぐことが可能です。
・痛みが強い時は、痛む場所にアイス枕や冷たいタオルなどを当てて冷やすと、痛みが和らぐことがあります。
・頭痛の前に前兆がある場合は、前兆が出た時点で痛み止めを服用することで、痛み止めの効果を最大限に得ることがます。ロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェンなどの成分を含む医薬品(一般用医薬品としても販売されています)の服用が効果的です。しかし、これらの医薬品は胃を荒らしてしまうことがあるため、購入する際、薬剤師や登録販売者の説明をしっかりと聞き、症状が続いたり、副作用と思う症状が見られたら病院を受診しましょう。
・市販の痛み止めで頭痛が治まらないなど症状がひどい場合、病院を受診すると、市販の痛み止めよりも効果の高い治療薬を処方してもらうことができます。代表的な片頭痛用の医療用医薬品として「トリプタン」と呼ばれる治療薬があり、片頭痛を生じさせない、あるいは生じた痛みを抑えることができます。
〔緊張型頭痛〕
<特徴>
・主に項部(うなじ)から後頭部にかけての筋肉が緊張することなどで生じる、非拍動性(ズキンズキン脈打つような感じがない)で両側性(頭の両側が痛む)の頭痛です。頭を締め付けるような痛み、頭重感(頭が重い感じ)が見られます。日常生活に大きな支障をきたすことは少ないと言われています。日常動作によって症状が悪化することはありません。また、光過敏、音過敏、臭過敏、悪心、嘔吐などを伴うこともほとんどありません。
<経過>
・日常動作によって症状が悪化することはありませんが、1日中頭痛が続き、特に夕方に悪化する傾向があります。また、時間の経過によって反復性※3から慢性※4へ移行することがあります。
※3
反復性緊張型頭痛:頭痛発作が、数分~1週間持続する緊張型頭痛のこと。
※4
慢性緊張型頭痛:頭痛発作が、数日~数か月に及ぶ緊張型頭痛のこと。
<症状が悪化する要因>
・うつむき姿勢
・眼精疲労
・なで肩
・運動不足
・ストレス、疲労、不安、うつ状態 など
<治療・対処>
・入浴や運動、マッサージを行うことで症状が和らぐことが多いです。また、ロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェンなどの成分を含む医薬品(一般用医薬品としても販売されています)の服用が効果的です。しかし、これらの医薬品は胃を荒らしてしまうことがあるため、購入する際、薬剤師や登録販売者の説明をしっかりと聞き、症状が続いたり、副作用と思う症状が見られたら病院を受診しましょう。
〔群発性頭痛〕
<特徴>
・主に深夜、突然片側の眼窩部(眼の奥)にえぐられるような激痛が1時間ほど続き、およそ1か月間、毎日同じような時間帯に症状が現れます。随伴症状(併せて見られる症状)として涙や眼の充血、鼻づまりや鼻水があります。
・群発期※5と寛解期※6があります。
<経過>
・群発期と寛解期を繰り返します。群発期では症状は2日に1回以上現れますが、寛解期では症状はほとんど現れなくなります。群発期ではアルコールにより頭痛発作が必ず現れます。
※5
群発期:少なくとも2日に1回以上、症状が現れる。激痛が数週間から数か月間続き、これが1年間に数回見られます。群発期ではアルコールによって頭痛発作が必ず現れます。
※6
寛解期:症状はほとんど現れなくなり、これが数か月間から数年間続く。アルコールで頭痛発作は誘発されない。
<症状が悪化する要因>
・飲酒
・喫煙
・高身長 など
<治療・対処>
・群発性頭痛は、一般用医薬品として購入できる痛み止めはほとんど効きません。また、自分で行える対処法も存在しないため、群発性頭痛を疑った場合は病院へ行きましょう。
頭痛と診療科について
・外傷性頭痛 → 救急車を要請(119番通報)
・片頭痛 → 内科のほか、脳神経内科、頭痛外来を受診
・緊張型頭痛 → 整形外科のほか、脳神経内科、内科、頭痛外来を受診
・群発性頭痛 → 内科のほか、脳神経内科、頭痛外来を受診
・薬剤性頭痛 → 内科や薬局での相談のほか、脳神経内科、頭痛外来を受診
・その他の頭痛 → 内科のほか、脳神経内科、頭痛外来を受診
頭痛ダイアリーとは
頭痛ダイアリーとは、頭痛の強さや性状、持続時間、随伴症状、日常生活への支障度などについて、頭痛が起きた日ごとに記載していくものです。
頭痛の症状の多くは自覚的なものであるため、患者は正確に医師へ伝えることが困難なことから、頭痛ダイアリーを治療に用いることで医師は患者からより正確な頭痛情報を得ることができ、診断と治療、予防に大いに役立ちます。
また、自分でも頭痛の症状についてよく知ることができます。
参考:
・病気が見える vol.7 脳・神経 改訂第2班(医療情報科学研究所)
・一般社団法人 日本頭痛学会HP 「頭痛について知る」
・今日の治療薬 2023(医学書院)