2022年8月号(中3)脱水は夏だけじゃない! 脱水を未然に防ぐには?
※解説やもっと知ってほしいことなどは、おくすりナビの下に書いてあります。
解説やもっと知ってほしいことなど
1日に排出される・摂取する水分の内訳
体重50 kgの成人の場合、1日に排出される(体の外に出て行く)水分量は約2.5 Lです。
排出の内訳は、不感蒸泄(吐いた息や皮ふから水分が失われていくこと):0.9 L、汗:0.1 L、尿や便:1.5 Lです。
そのため普通に生活をしていても、1日に排出される水分量と同じ約2.5 Lの水分を飲食物から摂取する(体に取り込む)必要があります。
摂取の内訳は、食べ物の水分:1.0 L、食べ物を分解してエネルギーを得る時に作られる水分:0.3 L、飲料水:1.2 Lです。
毎日、1.2 Lの水分を口から摂取する必要があります!
脱水とは
脱水とは、体液が失われ、必要な水分と電解質(※)が不足している状態のことです。
体から水分が失われると、以下の症状が現れます。
・(体重の)~2%:のどの渇き、尿量の減少
・(体重の)3~4%:食欲不振、イライラする、皮ふが赤みを帯びる、疲労困ぱい など
・(体重の)5%~:言語不明瞭、呼吸困難、けいれん など
体重の1~2%水分が失われるだけでも脱水(軽度)です。健康を維持するためには、水分を摂取して体の水分量を一定に保つ必要があります。
水分が10%以上失われると死に至ることがあります。
(※)体液における電解質:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物(クロル)などのことで、体液中ではイオン化(陽イオンと陰イオンに電離)しています。
ベタベタ汗をかくと電解質、特にナトリウムが多量に失われます。
ベタベタ汗をたくさんかいた後は水分とともに塩分補給も必要と言われているのは、普段、人はナトリウムを主に塩(塩化ナトリウム)から補給しているからです。
脱水の種類
<高張性脱水(水欠乏性脱水)>
サラサラ汗をたくさんかいたり、水分の摂取不足などで起こります。
体中の水分とナトリウムのバランスが「 水分 < ナトリウム 」となっている脱水です。
<低張性脱水(ナトリウム欠乏性脱水)>
ベタベタ汗をたくさんかいたにもかかわらず、ナトリウムを含まない飲料(水など)をたくさん
飲んだ後などに起こります。
体中の水分とナトリウムのバランスが「 水分 > ナトリウム 」となっている脱水です。
<等張性脱水>
激しい下痢や嘔吐によって起こります。
体中の水分とナトリウムのバランスが「 水分 = ナトリウム 」となっている脱水です。
脱水になってしまったときの対処
口からの補給が可能であれば経口補水液を、口からの補給が難しい場合は病院で点滴により水分と電解質を補給します。
経口補水液の特徴
・飲む点滴とも言われ、水分、電解質、糖分がバランスよく含まれています。
・体から失われた水分や塩分などを速やかに吸収・補給できる飲み物です。
・塩分: 経口補水液 > スポーツドリンク
・糖分: 経口補水液 < スポーツドリンク
・補給が必要なときは年齢を問わず飲むことができますが、普段の水分補給に用いるものではありません。
経口補水液(簡易版)は自分で作ることもできます。
水1 Lに、食塩3 g(小さじ1/2)、砂糖40 g(大さじ4+小さじ1)を溶かせば完成です!
(経口補水液は体が異常事態である脱水になってしまったときに飲むもので、水分、電解質や糖分を補給して速やかに異常事態から脱することを主目的とする飲み物です。
これに対して、スポーツドリンクは体が異常事態になる前に飲むもの、つまりスポーツなどで失った水分、電解質や糖分を補給して次の活動に備えることを主目的とする飲み物です。)
参考:厚生労働省HP、熱中症 環境保健マニュアル2022(環境省)、大塚製薬HP、大塚製薬工場HP、日本コカ・コーラHP、日本薬学会HP、輸液・栄養クイックブック